chandan
 
            
チャンダン   水面下      

 
ドアを開けた瞬間のこの香り

匂いの染み込んだ木の家
日常だった君は居なくとも
いつでも私を迎えてくれる

おかえりなさい おかえりなさい
私には帰る場所がある
お疲れさま
1日の終わりに 芳しいお香を如何?

壁に掛かった服にはわざと
匂いが付くようにしてある
君は気付いてはくれなかったけど
私を憶えて欲しかったんだ

おやすみなさい おやすみなさい
いつでも連絡は取れなくても
お疲れさま
遠い場所で 君もきっとがんばっている

おかえりなさい おかえりなさい
特別に今日はナグチャンパ
お疲れさま
1日の終わりに 芳しいお香を如何?

芳しいお香を如何?

 
胡散臭い日射しに 絡まる長い髪が
鬱陶しくて顎までバッサリいった
屈折した感受性が 太陽を憎む
全て嘘ならば 真実になるのに

身体だけの人は誰一人 私の事など解っていない
解ってたまるかと 心の底では思っているんだ

どこかへ隠れたいくらいに恥ずかしいけど
「疲れた」と口にしたら みんな離れちゃうでしょう?
浅く広く付き合えても 部屋に戻ればひとり
どこに吐き出せばいい?

心を殺すことを上手に覚えてきて
限界がどこなのかさえもう分からない
笑いかけてくる人に笑い返す度に
分厚くなった仮面にヒビが入る

いっそのこと機械になっちゃえばいいのに
そっちへ行っちゃ駄目と 声がする
今までずっと信じてこれたものさえ 頼りなく 脆いのかも

どこまで堕ちても この流れは止まらない
「終わりだ」と口にしたら 本当に終わっちゃうでしょう?
自分自身が自分であればあるほど苦しい
どこへ葬れば?

どこかへ隠れたいくらいに恥ずかしいけど
「疲れた」と口にしたら みんな離れちゃうでしょう?
浅く広く付き合えても 部屋に戻ればひとり
どこに吐き出せばいい?

 


朝はくるよ みんなに平等に
昨日の傷も 消し去るかのように

扉を叩く音がして 私は目を覚ます
回るランドリー 走るキャビネット
それぞれが忙しく支度を始める
朝はくるよ どんなに傷付いても。

貴方は影だけ残して 美しく去ってゆく
シーツの皺と 食べかけのスナック
そこに居たのがまるで 嘘のように。

それでも朝はくるよ 思うより冷酷に
朝はくるよ 1人 歩けるように。